《MUMEI》
「ようこそ、ALICE!」
ドアを開けるとそこに広がっていたのは、洋館の様な広い部屋だった。
「お前が今回のALICEだな!?」
珠美の前にひょいっと出てきたのは、短髪の男の子だった。
「オレはNIGHTSのリーダー、邦光明良。よろしくな、マミ!!」
「なんなの【マミ】って〜!?」
間違った名前を発した明良は、ニカッと笑った。
「マミはちっちぇなー!!」
「人の話を聞けぇー!!!んでちっちゃい言うなぁ〜!!!」
珠美の言うことはスルーし、そして気にしていることをさらっと言い放った。
明良は身長が170ちょっとあるので、珠美を見下ろすようになるのだ。
なんで初対面の人とこんなことしなくちゃいけないのかなぁ・・・。
でもよく見るとどこかで・・・?
「ぁあ!!邦光君ってすっごく強い人だ!!」
「なんだその『強い人』って!!」
明良は珠美の言葉にたははっと笑った。
そんな明良を見てはっきりと思い出した。
邦光明良って格闘技全般で全国制覇した人だ!!
特に空手は20歳には敵がいないって言われたんだっけ?
道理で背が高いわけだ・・・。
明良は空手、柔道、合気道などの大会で、3年連続全国制覇していた。
そして格闘技以外のスポーツでもインターハイなどで新記録を出すなど、学園1のスポーツマンなのだった。
見たことある人だと思った!!
こんな人そういないからなぁ〜。
珠美がいろいろ考えていると、明良がドンッと突き飛ばされた。
「だぁっ!!何すんだよツヅ!!」
「アキばっか話しててずるいんだもんっ!!」
【ツヅ】と呼ばれたのは、ハッキリとした顔立ちで派手な女の子だった。
「あたし藤森都槻!!よろしくねっ♪」
都槻はニコっと笑った。
わぁ、可愛い子だなぁ〜!!
でもかなり派手かも・・・
珠美が都槻の姿を見ると、上から明るいブラウンの短い髪に緩いパーマ、左の耳には2つのピアス、制服の襟にはブローチ、スカートの長さは基準よりもだいぶ上、指定のブーツの中には赤と黒の縞々のソックス。
「どうかした〜?絢咲珠美ちゃんっ?」
何で私の名前知ってるの?
うちの学校市内でもマンモス校で有名なのに・・・。
「身長158CM、体重とスリーサイズは伏せておいてあげるねっ。3月3日生まれの魚座。趣味、特技は料理で、嫌いなものは怖いもの、だねっ!!」
都槻はニコニコしながら言った。
なんで私のことをそん何知ってるの・・・。
「何でも顔に出るんだねぇ〜?マミって子犬みたいっ!」
さらっと酷いことを・・・。
そして私は【マミ】で決定なのかなぁ・・・?
「こいつはこの辺の情報屋。絶対に怒らせんじゃねーぞ、命いくらあってもたんねーから」
明良は都槻を親指で指した。
「そしたらアキは、既にアウトだねっ?」
うわぁ・・・都槻ちゃん微笑んでるけど、怖い。
この微笑とあの情報で先生達も脅してるから、こんな格好してても大丈夫なんだ・・・。
「都槻ちゃんって魔王なんだね」
うん、絶対そうなんだ、と珠美は悟った。
どうして魔王に結びつくのかは疑問だが、明良はそれどころではなかった。
都槻は怪しい笑みを浮かべ、明良は笑っていたが、顔は青かった。
かなり奇妙な光景である。
「うるせーなぁ、そんなにカリカリしてっと皺が増えるぞ!!」
都槻からプチッという音が聞こえてきた。
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