《MUMEI》
愛は会社を救う(46)
「監査で不正が明るみに出て、私も処分を受けました。でも、上が処分の事実を隠して、あの支店へ栄転させてくれたんです。大学を出たてでしたけど、私、総合職でしたから。主任でも不自然ではないだろうって」
そこまで言うと、知子は紅茶に口を付けた。
料理をするため、後ろで軽く束ねただけの髪。その解れを、指で耳の後ろに整え直す。そんな仕草を、私はただ黙って見ていた。
「支店に来てからも、私はひたすら仕事をこなしました。本社と比べてのんびりした雰囲気が嫌で、上司や先輩に対しても、いろいろ率直に意見したし…」
「しかし、そういう態度が彼女の"嗜好"に適ってしまった」
「ええ、そうみたいです」
そう言いながら、知子は何度か軽く頷いた。
「ずっと目を付けていたみたいです。でも私は、山下さんにお伺いを立てることなく、自分で判断して仕事を進めてました。仕事で借りを作るのは、嫌でしたから」

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