《MUMEI》
虚しい抵抗
夜遅く、目黒のオフィスに戻った
 
地下駐車場に車を停め
12階の一室へ
 
13階建てのビルだけど
10階から上は全て俺の所有物だ
 
リフォームして、売りに出すつもりだったけど
 
今は、都合が良いから、俺が使ってるんだ
 
さてと…
 
パソコンを接続して
美樹の居る13階の部屋を見た
 
隠しカメラとマイクが至るところにあるんだ
 
妹の真樹が来てた
 
真樹『それ、ホントなの、お姉ちゃん』
 
美樹『本当よ…』
 
真樹『…どうするの?…』 
美樹『こんな事、許せない!』
 
真樹『…うん…でも…』
 
美樹『真樹、あんた証言してよ、私が妊娠してたの知ってるでしょ』
 
真樹『…うん…』
 
美樹『奴らの悪事、暴いてやるんだから!』
 
そうでるか…まぁ…かまわないけど…
真樹は乗り気じゃないみたいだな…
 
美樹『絶対、許さない!!』
 
 
真樹『ねぇ…お姉ちゃん…』
『もう、あきらめようょ…』
 
美樹『…真樹…』
 
真樹『こんなに、用意周到な人達なんだよ…』
『私達が騒ぎ立てても…』『…』
 
美樹『真樹、本気で言ってるの?』
 
真樹『お姉ちゃんだって、わざと妊娠したんでしょ…』
『お金も、もらえたし…』『…お母さん、病院通いながら、お店再開するって…』
『私も手伝いながら大学に戻るつもりなの…』
 
『これ以上、何を望の?』 
美樹『私だけ、犠牲になればいいの!』
『勝手な事ばかり、言わないでよ!』
 
真樹『元々はお姉ちゃんが言い出したんでしょ!』
『妊娠して、金むしり取るって!』
 
美樹『…』
 
真樹『結婚したって…幸せになんてなれないよ…』
 
美樹『そんな事望んでないよ!』
『勝手に子供、中絶するなんて、犯罪じゃない!』
 
真樹『…そうだけど…』
 
美樹『黙って泣き寝入りしろって言うの?!』
 
真樹『生むつもりだったの?…』
 
美樹『……』
 
真樹『好きになっちゃったの?佳祐さんを…』
 
美樹『はぁ?誰が、あんな変態野郎を、バカ言わないでよ!』
 
真樹『…お姉ちゃん…』
『…』
『全部忘れて、一緒に家に帰ろうよ…』
 
美樹『…』
 
真樹『もう、関わらない方がいいよ、あの人達とは…』
 
美樹『…』
 
真樹『お金だってあるし、頑張れば、家族で…』
 
美樹『私が身体張って作ったお金じゃない!』
 
真樹『…う、ん…そうだけど…』
 
美樹『なに、自分達のお金にしてるのよ!』
 
真樹『違う、そんなつもりじゃ…』
 
美樹『うるさい!』
『もういい!、真樹なんかあてにしないよ!』
 
真樹『お姉ちゃん…』
 
美樹『私ひとりで、闘うから!』
 
真樹『お姉ちゃん!』
 
美樹『うるさい!もう、帰って!!』
 

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