《MUMEI》
邂逅
私はある猫だ。
縞虎の猫。ある主に仕えている。
猫が仕えているなど、おかしいか?
猫は気まぐれだが、私のような変わり者だっている。

「シマ。」

主が読んでいる。

わが主は美しい姫だ。私は、彼女の守護についている。

「にゃお!」

私は主の膝に乗り、ごろごろと喉を鳴らした。

よし、今日は何もいないな。

(おい。)

あ、蛙!

実体を持たない幽霊蛙。またたんぼからついて来たらしい。

(またついて来たのか。今度は何の用だよ)

(烏が蛇と喧嘩してるんだよ。止めてやってくれ)

また那楡多森か?

(いい加減にしてくれよ。主を立てて貰って仕えたらいいだろ、私を巻き込まないでくれ)

(そーいうなよ、同じ森の眷属じゃないか)

(だが私は今は猫だ。狐じゃない)

蛙はち、と舌打ちをした。

(いい加減その猫から出たらどうだ夜孤



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