《MUMEI》

 アリゾナ州 「フェニックス郊外」 

砂漠の中 柵に囲まれ厳重に警護された (MP財団原子物理学研究所) 


その所長室の中 激しく研究所所長のクレイトンを問いつめている 栄一がいた 

「ミスタークレイトン…何故…根元博士は殺されなければならなかったのですか…… ? 
あなた方は 一体ナニをしようとして……ナニを隠している?…… 」 


クレイトンは栄一の激しい問いを…じっと眼を閉じたままタバコを吹かしながら聞いていた 


「ミスター栄一  わたしも 博士の死には本当に驚いているし ショックだった… まさか この地であんな事になろうとは……
博士を呼んだわたしも 当然責任を感じている…  
博士の死は 全人類にとっても 多大な損失だよ… 」 

クレイトンの表情は哀しみに変わり…その眼は微かに濡れていた 

しばらく部屋の中には
何もない砂漠のような…静寂が流れた… 


「 ミスタークレイトン 
わたしとユカは アラスカの研究所で 命まで狙われたんだ… あの銀色に光る 宇宙服のようなモノを 見てしまったために … 
アレは 一体なんですか?…あの石の成分の合成と どう関係が ある … 
研究所の合成室で…ナニを…造っているんですか?…
それに… 国防省や あの男たち …… 」 

哀しみにみちた表情で栄一の激しい詰問を聞いていたクレイトンの表情が、 一瞬曇った 

「…あの男? ミスター栄一 …君は どこまで 知っている ? あの石の欠片は…… 今…どこにある? 
その男には 絶対に渡しては駄目だ ! 」 

たちまちクレイトンの表情は… 追い詰められた野ウサギのように 
焦りに 変わっていった 。

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