《MUMEI》

「アキ〜?そんなことを口に出すってことは、もう覚悟は出来てんだよねっ?」

都槻の怪しい笑みが増した。

「オ、オレじゃねーよ!!」

そして比例して明良の顔の青さも増した。

この2人は『シマウマがライオンに追い詰められたが、後ろは崖で絶体絶命!!!』のような光景を作り出している。

すると、さっき珠美を案内した女の子が笑い出した。

「あたしだよぉ〜!!アキちゃんの声なんかちょろいもんねぇ〜!!」

さっきは暗くてよく見えなかったけど、可愛い子だなぁ〜。

クリッとした大きな目に、栗色の髪をツインテール、そしてさっきと同様にうさぎの人形を抱えていた。

「三条千晴子です。そしてこのうさぎはエリザベス・ホワイト。よろしくねぇ〜マミちゃん!!」

ほらザベスもお辞儀して!!と、珠美にぺこっと頭を下げた。

【ザベス】ってうさぎさんの名前?
可愛いけど不思議な名前だなぁ〜。

珠美はこの可愛いと思う時点で、うさぎにザベスと名づける千晴子と同じくらい充分不思議だった。

「こいつは『声帯模写』っていう能力が使いこなせんだ。まぁ千晴は遊び程度にしか使ってないけどな」

明良は千晴子の頭にポンッと手をのせた。

「だってアキちゃんからかうのおもしろいんだもん!!」

「そのせいでさっきオレは死にかけたんだぞ!?」

「それはアキちゃんがアホ(単純)だからだよ〜?」

「なに〜〜!?しかもなんだその疑問系は!!!」

明良と千晴子は珠美をそっちのけで言い合い始めた。

もっとも、千晴子は遊んでいるだけだったが。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫