貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
解雇(2)
「わっ いつの間に作ったんですか!」
「ふっふっふ。トリプルバーガー河合スペシャルだ。」
誇らしげに見せる。
「ま、まずいですよ。店長に見つかったら…」
あたふたする奈々ちゃん。
「ヘーキヘーキ。あのヒゲ男は銀行に…」
「誰がヒゲ男だって?」
オレの動きが止まる。そして、ゆっくりと振り向く。そこにはヒゲ面の男が立っていた。
「や、やあ店長。ご機嫌いかが?」
意外と気付いてないかも、とポジティブに考え挨拶をする。
「良いように見えるか?」
…そんなに甘くはなかった。
「その後ろ手に隠しているのはなんだ?河合。」
般若のような顔で尋問してくる。
(トリプルバーガー河合スペシャル、なんて言ったら殺されるな)
「え、え〜コレですか?なんというか、なんとも形容しがたいんですが」
しどろもどろになるオレ。
「あえて言うなら……アート?」
…オレ、ピンチになると駄目みたい。
「バカタレ!クビだー!」
野太い店長の声が店中に轟いた。

…そして、店を追い出され今に至るわけだ。
「はあ〜。明日からどうするか…」

前へ |次へ

作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ