《MUMEI》
「ね、ねぇ!!『声帯模写』ってなんなの?」
珠美は恐る恐る明良に尋ねた。
「あぁ、声帯模写っていうのは声を自在に操ることができる能力のこと。こいつの場合、一度聞いた声なら絶対忘れない」
「ほぇ〜、すごいんだねぇ、千晴子ちゃんって!!」
「えへへ〜『ありがと、マミちゃん!!』」
千晴子は最後の部分を、明良の声で出してみせた。
「わぁ〜すごい!!」
「オレの声で遊ぶな!!!」
明良が怒り出すと、千晴子は笑いながら金髪でスラッとした男の子の後ろに隠れた。
「きゃ〜良ちゃん!!アキちゃんが怒るよぅ〜!!」
「アキは単細胞やから、しょうがないねん!!気にせんとき〜、ちーこ」
なんだと〜!?と更に怒る明良をほったらかして、【良ちゃん】と呼ばれた男の子は千晴子の頭を撫でた。
そして珠美の顔を見て、目を閉じた。
「どっかで見たことある思ぉたら、3週間前の水曜日に図書室の2Fで爆睡しとった子やんなぁ?次の日期限の数学レポートほっぽって!!」
目を開けると千晴子の頭から手を退けて、珠美の方を向いてケラケラと笑う。
「な、なんで知ってるの!?」
そんな前の事を覚えてるはずないのに!!!
しかも初対面で・・・
明良は珠美の考えていることが分かったのか、あぁ、と頷いた。
「こいつはIQ180の天才児。だから記憶力はオレらより遥かに上。初対面の奴でも関係なしで覚えてられんだよ」
「あ、IQ180!?」
珠美は目をクリクリさせながら、その【天才児】を見る。
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