《MUMEI》 ――― 牡丹の月6月の勝負… 兼松との間につけられた41文もの大差… 勝負も中盤にして、それは絶望的とも言える差だった。 兼松は序盤から「萩に猪」と「牡丹に蝶」を立て続けに取札へ加える…。 一方の〆華も「菊の青札」と「牡丹の青札」を手に入れる…。 前半早々に互いに役にリーチが掛かった後は、暫く膠着状態が続いた。 兼松は4巡目に「藤のカス」を場に空切りする。 すると山札からの返しは、今しがた空切りした「藤」に、そのまま重なる「郭公」だった。 またしても幸運に恵まれただけの札廻りで、兼松は着々と役作りを進めてゆく…。 ツキはまだその手中に握られていた…。 前へ |次へ |
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