《MUMEI》

「ぃゃ‥普通に分かるっしょ、あの反応見たら」

「ははっ、それはそうだな」

笑いながら、

先生はもう一口、

コーヒーを啜る。

「──それでだ」

「?」

「さぁて、そろそろ訊かせてもらうとするかな? 悩みって奴を」

「はッ!?」

だからあたし、

話せないんだってば。

「な‥悩みなんかないですっ」

「でも、ここ来たって事は──何か話したい事あるんだろ?」

「ないですっ」

「‥‥‥?」

「ご馳走さまっ。あたしバス時間あるんでそろそろ帰ります」

「待った」

「ぇ?」

「ゆっくりしていけばどうだ? バス時間って言ったけど──5時まで突っ立ってるのも大変だろ?」

「大変じゃないです」

「そうかぁ?」

先生は、

悪戯っぽく笑った。

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