《MUMEI》 「──────‥」 引き止められて、 あたしはまだ生徒指導室にいる。 先生は、 コーヒーを飲みながら‥ 時々あたしに、 質問を投げかけてくる。 「佐原は──何になりたいんだ?」 「ぇ」 いきなり訊かれて、 焦った。 だって、 まだ分かんないし‥。 あたし、 何になりたいんだろ。 そうだ‥。 ‥1つだけ、 ある。 ──恋人。 あたしがなりたいのは、 先生の恋人──。 ‥でも。 叶わない夢、 かも知れない──‥。 ねぇ先生‥? あたしの気持ち‥ 気付いてよ。 少しでいいから──。 前へ |次へ |
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