《MUMEI》
愛は会社を救う(49)
シャワーを浴び、パジャマに着替えた知子が、和室に敷いた布団の傍らに腰を下ろす。
暖色の照明に、小柄なシルエットがぼうっと浮かび上がる。
シンプルな生成りのコットン一枚を介し、お互い肌の感触を確かめ合う。
「誰にでもこんなことさせる女じゃないこと、たぶん、すぐにわかります」
熱に浮かされたように、上ずる声で言葉を続ける。
「これから、あなたに教えてもらいます。"あの人"が知らないことを…」
白い首筋に鼻先を摺り寄せると、給湯室の時と同じ化粧水の香りがした。
地味な知子らしく、眼の前の薄い耳たぶには、ピアスホールさえ開けていなかった。
「ピアス、されないんですね」
深い呼吸に紛れ、目を閉じた知子が潤んだ声でこう応じた。
「言ったでしょう。私、優等生なの…」

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