《MUMEI》 【プロローグ】白浜に蒼い海。 ここは、大陸の1番西にある、ルグール国でも1、2を争う景勝地であるカ・サ・カコナ(輝く砂の街)という街。 大陸の西最果ての地として、特に夕暮れは綺麗で、神々しい。本当に神が宿っているような情景に、思わず祈りを捧げずにはいられない。 だけど、旅行客である都会暮らしの人たちは、寒いし疲れたと、美しい夕日も見ずにホテルへ帰っていく。 そんな白浜に、美しい少女が黒髪ストレートのロングヘアたなびかせ、ぽつんと一人立っていた。歳は背格好を見る限りは12くらいだろうか。容姿は、まだ背は低いが顔付きからも冷静さが伺える。ただ、漆黒の目には深い哀しみを帯びていた。 いつもは少女らしからぬ冷静さで大人達と対等に議論等で渡り合う賢い少女が、とても悲しそうな表情をしていた。 「ユーリ、そんな所にいたんだ。風邪ひくから早く帰ろう。お父様もみんなも心配してるよ。」 別の少女がやってきて話しかけた。黒髪の少女よりも年上のようだ。容姿は、髪はふわふわとし金色で、目は空のように蒼く、雰囲気も可愛らしいと黒髪の少女とは正反対である。ついでに胸も(余計なお世話)。 「セリア・・・」 金髪の少女へ答えるようにユーリが振り返った。目に涙が浮かんでいる。 「どうしよう・・・悪魔が来る・・・!」 そう言うと、セリアと呼んだ金髪の少女に泣きじゃくりながら抱き着いた。 セリアは、母親のようにユーリを受け止めた。 次へ |
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