《MUMEI》

「──ねぇ」

「ん?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「おい‥?」

「先生って、恋とかってした事ないの?」

「‥コイ‥?」

「誰か、好きになった事ないの?」

「‥な─く─も─ないなぁ」

「あるの‥!?」

「まぁ、一方的な片思いだったんだけどな」

苦笑して、またコーヒーに口を付ける先生。

「中2の時同じクラスになった女子にさ、一目惚れして──」

「一目惚れ‥」

「その子が、授業でもないのに教科書の1ページをジーッと見つめててな、覗き込んだら──あの詩を読んでたんだ」

「『あの詩』‥?」

「夕焼け」

「──ぇ」

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