《MUMEI》

「おい、大丈夫か佐原?」

「‥うん」

ほんとは全然大丈夫じゃないけど‥。

「ねぇ、それで‥さ」

「ん?」

「それで良かった?」

「‥ぇ」

「後悔、してない‥?」

「後悔、なぁ──」

「してないの?」

「まぁ、仕方なかったしな」

「仕方なかった‥?」

「俺も言わなかったしさ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「言わなきゃ分からないもんなぁ、やっぱり」

「‥そう、なの?」

「それが難しいんだけどな、結構」

「言っとけば良かった、って思う?」

訊いたら、

先生は頷いた、

「思うなぁ。ちゃんと言えば良かった、って──」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫