《MUMEI》

別に好きな奴がいる‥?

それって、

誰‥?

「先生──」

「ん‥?」

「その人、って──」

「それは秘密だな」

「‥そ、‥っか」

先生が、

今好きな人‥

それって──

誰なんだろ。

「その人の事──」

「?」

「その人の事、チョコシロより好き‥?」

「そうだなぁ、チョコレートシロップより──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「ぁ、そろそろ時間だろ? 玄関まで行くか、一緒に。なっ」

「──触んないでっ!」

肩に乗せられかけた手を、

パンッ、

と振り払った。

「触んないでよ‥」

「佐原‥?」

「もういいから‥」

あたしに話しかけないで──‥。

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