《MUMEI》
すると、珠美にキレイに整った顔をずいーっと近づけてきた。
「まぁ、あやっぺはベッピンさんやったから忘れられんけどなぁ〜!!」
珠美の真っ赤な顔を見てニコニコとしている。
「オレ、秋塚良次!!好きなものは女の子でぇーす!!」
「か、顔が近い!!!」
珠美は慌てて良次の顔をぺいっとはがす。
「あやっぺが冷たい〜!!」
良次は小さくなってグスグスとし始めた。
すると、その金髪の頭がバコッと殴られた。
「った〜ツヅ!!!何すんねん!!!」
「さっさとマミから離れてよねっ!!この女っタラシ!!!」
「なんやてぇ〜!?」
良次は都槻に刃向かえる数少ない勇気ある者で、いつもちょっとしたことからこんなことになるのだった。
「ちょ、ちょっと秋塚君、都槻ちゃんやめ・・・っふげぇ!!!」
そんなことは知らない珠美は2人を止めようと駆けつけたのだが、どこからか出ていたコードに足を取られて躓いた。
「鈍感だね、あなた」
珠美は赤い鼻を擦りながら前を見ると、明良たちより幼い顔の美少年が立っていた。
「ふげぇって!!変な声だなぁ!!!」
明良は笑いながら珠美の腕を取り、立たせた。
さっきの美少年はふいっと顔を反らし、近くの椅子の腰掛けて読書を始めた。
「あの男の子もNIGHTS?」
珠美はその美少年の方を見ながら、明良に尋ねた。
「あぁ。春日湊汰、オレらよりも2コ下の高1。湊はへアメイクが得意で結構有名だけど、あいつメディアに出たがらねーからなぁ・・・」
「もったいないよねぇ〜!!湊は最年少1の腕前って言われてて、業界では【マジックハンドを持つ美少年】なんて呼ばれてるだから!!!」
いつのまにか戻ってきた都槻が、うんうん頷く。
部屋の隅に蹲っている良次からして、都槻の勝利だったのだろう。
これもいつものことだったが。
「だからお前はどっからそんなの持ってくるんだよ!!」
「こんなの常識の範囲内だよっ!!」
「湊はメディアにはでないっつってんのに、なんで知ってんだよ・・・」
明良はそれ以上詮索するのは危険だと感じ取ったのか、諦めて肩を落とした。
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