《MUMEI》 「ぇ、ちょっ‥先生‥!?」 頭に乗った手が、 重い。 その手は、 あたしの頭を包み込める位大きい。 「先生、手、どけて‥」 「? ぁ‥悪い」 一瞬キョトンとしてから手を引っ込めて、 先生は俯いた。 「あ‥の‥さぁ、佐原」 「何?」 「悪かったな、昨日──」 「ぇ」 「ごめんな」 悲しそうに、 笑って。 先生は、 そう呟くみたいに言った。 「でも俺──」 「‥?」 「お前といると楽しいからさ」 「‥っ!?」 何か、 体中の血が── 一気に沸騰したみたいな感じがした。 前へ |次へ |
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