《MUMEI》

「高校生って…



こんな平凡だっけ…?」




凜は今まで特に何の苦労もなく、何の夢もなく…

高校に入って平凡に暮らしていた。



「でも、今のままで幸せだし、いいかっ♪」



そして恐ろしいくらい楽天家だ。




この高校には凜と同じ中学だった人は一人もいない。

にも関わらずマイペースな凜の高校で初めて出来た友達が、橋本 百花(はしもと ももか)。


「凜ちゃーん!おはよー!」


「おはよー……」


「…ねぇ凜ちゃん、今日何の日か覚えてる?」


「なあに?ももちゃん…」

「私が凜ちゃんと初めて話した日だよ!」


「そうだっけ?よく覚えてるね…笑」



「覚えてるよー!凜ちゃん、傘忘れちゃったんだもん!」


一年前、凜は入学早々、傘を忘れて突然の雨に成す術がなかった。とりあえず呆然と立ち尽くしていると、百花が親切にも傘に入れてくれたのが二人の出会いだった。


「そうだったね…あの時はありがとう!」


「…うれしい」


「へ?」


「凜ちゃんがありがとうって言ってくれたっ☆」


「何回でも言ってあげるよ♪ありがとありがとありがと〜う!」


「凜ちゃんっカワイイっ」


実は…


百花が凜に寄せる思いは想像を遥かに越えていたのです!



でも凜は気付かないまま……

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