《MUMEI》

 スクリーンにハイパーメタルスーツの立体画面が映し出された 。 

あらゆる角度から そしてあらゆる部位の細かい仕組みや機能 そして成分までもが詳しく記されている… 
ライアンズがそのスクリーンを見ながら…ヘッドマイクをつけた 


「お集まりの皆さんは もうご存じでしょうが… 
今からちょうど三年程前にアラスカ中央の山間部に
隕石が飛来してきました…その時の衝撃は…行かれた方なら まだご記憶の事と思いますが……
我々は早速調査に出かけました…そしてブルックス山脈に程近い森の中で あの 直径七十メートル 深さは…その最高到達点は三百五十メートルにも及ぶ… すり鉢状に開いた…すさまじい穴を 発見しました…… 

しかし… 普通隕石が落下する場合その衝撃は砕けて球状に飛び散ってしまうものですが… 
あの穴を見た時には……まるで誰かが意図的に採掘でもしたような…
常識では隕石等とは とても考えられない状態でした… 

それに…衝突したさいにM7.5の巨大な振動波を記録したわりには…その規模の範囲の狭さから…
巨大な物体…またはミサイル落下説が… 当然ながら科学者たちの中からも浮上したのでありますが… 

おわかりのように…あれ程の深い…円錐形の穴など… 
どれ程の巨大な物体を用いても…また…たとえ宇宙空間から落下させたにせよ…
不可能な事は……あきらかです…」 

「そこで我々は…早速大統領をトップに据えた 軍や科学者からなる…国家安全保障特別プロジェクトチームを……先程までご同席いただいていた…MP財団のクレイトン博士を中心に全て極秘裏のうちに…立ち上げる事に決定いたしました… 

…我々はあの穴の周囲を地震による巨大な地盤沈下と云う事で立ち入り禁止区域指定にし…マスコミの眼を逸らすために民間指定の研究所としたのですが… 
何しろあの巨大な穴を掘削しながらの調査には大変な作業を強いられたわけであります… 。 
そして半年以上もかけ… 
…ついに三百五十メートルの地底に隠れるようにして埋まっていた…あのわずか10センチメートルにも充たない小さな隕石の欠片を発見しました…。 

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