《MUMEI》

「ぁぁ、そうだったそうだった──」

先生は、脇に抱えた教科書やらプリントやらを見て苦笑した。

「じゃ、また後でな」

「ぇ?」

どういう事?

そう訊き返す前に、

先生は教室を出てったから‥

あたしには、

その言葉の意味が分かんない。

「佐原さんってさぁ?」

「!?」

「何か先生に気に入られてるっぽいよね〜」

「‥?」

顔を上げたら、3人の女子が──

何かニコニコしながらあたしを見てた。

「いいなぁ、佐原さん──」

「‥何で?」

「だって──」

その時、

チャイムが鳴った。

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