《MUMEI》

もう、

食欲なんか‥

すっかりなくなってる。

「ていうか何なの、あの子‥」

曾野、

って先生は呼んでたけど‥

現国の授業では一緒じゃなかったし‥。

何であんなに、

気安く話しかけられるんだろ。

「何で‥? ‥ぁ」

‥そっか。

当たり前じゃん‥。

あの子は、

先生の彼女なんだから──‥。

『ほら』

『お前といると楽しいからさ』

『お、いたいた』

「───────」

全部、

あの台詞も‥

何もかも‥

どうでも良くなってきて。

逆に、

先生があの子を好きでいて、

幸せなんだったら、

あたしは、

それでいい気がする。

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