《MUMEI》

「‥じゃ、行って来る」

「うんっ。ミオ姉の事宜しくね? ちゃんと家まで送ってあげてね?」

「分かってら」

兄貴は、背中におぶったミオ姉にちょっとだけ振り向いてから、玄関の扉を開けた。

「ぁ、やっぱりあたしも一緒に行っていい?」

「は‥?」

「兄貴独りじゃ心配だもん」

「バカヤロウ、テメーの付き添いなんかいらねーよ」

「じゃあ勝手に付いてくから♪」

「なッ、オイ!?」

「ほらっ、早く行こうよ!」

あたしが言ったら、兄貴は溜め息をついて先に歩き出した。

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