《MUMEI》

助手席におとなしく座ってる美樹
 
雅治「実家でいいんだろ?」 

美樹「……」
 
雅治「腹へったな…飯食って行くか」
独り言のように言い 焼肉屋のパーキングに車を入れた
 
雅治「降りろよ…金払えなんて言わねーから、お前も食え」
 
ちょっとは名の知れたチェーン店だ
 
高い肉ばかり頼み、テーブルに並んだ
 
雅治「どした?…食えよ…」
「松阪牛じゃ、不満かい?」
 
美樹が肉を焼き始めた…
 
個室にしたのは訳がある
美樹の態度からして、実家には帰りたくないのはわかってる…
理由はわからないが…
 
食い始めて、しばらくした頃
 
雅治「なんで、お前、実家に帰らなかったんだ?」
 
唐突に聞いた
 
美樹「…」
 
雅治「んだよ、さっきから黙りこくって、なんとか言えよ!」
 
美樹「…」
 
雅治「帰りたくないのか?」
 
美樹「…地元には…行きたくないな…」
 
やっと、話し出した
 
雅治「じゃあ、どこ行くんだ?、俺はタクシーじゃないぜ…」
 
美樹「…」
 
雅治「500万あんだろ、何処でも行けるだろうよ」
 
美樹「…無いの…」
 
雅治「はぁ?」
「もう、使ったってか?」 
美樹「…返済したら…2万しか…」
 
雅治「…何の返済?…」
 
美樹「カードとか…」
 
雅治「お前、アホだろ…」 
美樹「…」
 
雅治「とにかく食え!バカ女!」
 
冷たい言葉を投げ付けた
 
無言で肉を食った…
 
 
雅治「腹いっぱいになったか?」
 
優しく言った
 
美樹「…うん…」
 
雅治「じゃあ、行くぞ…」 
伝票を持ち立ち上がる
 
店を出て車に乗る
 
雅治「で、どうすんだ?」 
美樹「…」 
 
雅治「ダチの所とか、どっか、アテないのか?…」
 
美樹「…」
 
雅治「ちっ!」
舌打ちして、車を走らせた 
美樹…黙って助手席に座ってた
 
首都高、から東名高速へ
 
美樹の実家は、埼玉の川口だ
 
まるっきり反対の、神奈川に車を走らせた
 
美樹「……」
 
何も言葉にはしないが、不思議顔をしていた
 
 
鉄筋コンクリートの小さな3階建てのビル
 
1階のガレージに車を停め電動シャッターを閉じる
 
トランクから美樹の荷物を降ろした
 
雅治「何やってんだよ、早く降りろ!」
 
美樹にカバンを持たせ
俺が紙袋を持った
 
階段を上がると美樹が付いて来た
 
2階を素通りして、3階へ 
広い1LDKになってる
 
荷物をフローリングに起き冷蔵庫からビールを出した 
雅治「お前も飲むか?」
 
美樹「ここは?…」
 
雅治「佳祐も知らない、俺の隠れ家だよ」
 
美樹「…」

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