貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
救出
ポケットを探ってみる。着古したジーパンのポケットの中には50円玉が2枚入っていた。サイフの中は……見るまでもない。空だからだ。
つまり所持金は100円ということになる。
(小学生か…)
頼みの綱のバイト代は店長のヒステリックによりパーだ。それは、次の仕送りが来る(といっても千円だが)2週間後まで100円で過ごさなければいけないことを示していた。
「はあ〜〜。」
再び大きなため息をつく。
「しょうがない… 帰ろう…。」
重い足取りで帰途に着いた。

「ん?」
肩を落とし歩いていると、奇妙な物体が視界に入ってきた。
(竹の柵から足が生えてる?)
ソレはバタバタと暴れ、なんだか苦しそうだった。
「……」
オレはソレのしっぽらしき部分を引っ張ってみる。
「チュン!」
竹の中から出てきたのは一羽の雀だった。…どうやら頭からハマり、抜けなくなっていたらしい。
「イタすぎるぞ、お前…」
逆さ吊りにした雀に話しかける。
当の本人は逃げようと暴れていた。
「ほれ、もうドジるなよ。」
オレはそいつを放してやる。その途端パタパタパタと元気よく飛んで行った。
(まあ、鳥の世界にもああいうヤツは居るわけだし、オレも頑張るか…)

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