《MUMEI》 「お帰り〜」 玄関に着くなり、母さんが出迎えてくれた。 「未桜ちゃん大丈夫だった‥?」 「うん、ミオ姉なら大丈夫」 「良かった──。ほら、中入って?」 「うん。──あれ、兄貴どうかした?」 「‥いんや。お袋、親父は」 「もう寝ちゃったわ」 「ふーん‥」 「父さん、疲れてたんだね──」 「いつもの事よ、大丈夫」 母さんは笑いかけて、両手であたし達の頭を撫でてきた。 「さて、2人もそろそろ寝なきゃね」 「オレはまだいーだろ」 「だーめ」 ニッコリ笑って言った、母さん。 兄貴は、 「ちぇっ」 そう言ってつまんなそうに洗面所に向かって行った。 前へ |次へ |
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