《MUMEI》

夜9:00 美樹はファミレスに居るようだった
 
盗聴、開始…
 
『マジ、金持ちの彼氏なんだなぁ』
男の声だ…
 
『ごめんね…疑って…』
女の声だ
 
『いいよ、別に、気にしてないよ』
美樹の声だ
 
『羨ましいなぁ』
別の女の声だ
 
『彼の仕事の都合で、あちこち飛び回るから、しばらく忙しいんだ』
 
美樹の声…嘘つきが板についてるな…
 
『だから、友達と遊んで来なって……だから、ここもおごるよ』
…こりゃ、相当な見栄っ張りだな… 
 
『美樹、ごっそうさん』
また別の男の声だ…
 
何人居るんだよ…
 
様子は掴めた、もう、いいだろ
盗聴を止め、俺は車を走らせた
 
柄の悪い、若い奴を使って、美樹の実家に電話させた…
 
美樹の居場所を確認するように…
 
その後直ぐ、美樹に電話をした、約束の時間より、大分早いけど…
 
雅治『答えは、出たかな?』
 
美樹『うん、一緒に行きます』
 
友人達の手前、言葉を選んだようだ…
 
雅治『今、何処にいるんだ…迎えに行く』
 
知ってるが、わざと詳しく場所を聞き
美樹が居る、ファミレスへと車を走らせた
 
 
10分後、ファミレスの駐車場
 
美樹に着いたと電話を入れた後、盗聴を開始した
 
電池を消耗させる為だ…
 
美樹『あっ、居た、じゃあ、みんな、またね』

『スゲーあの車…ベンツのロリンザーじゃん』
男の声だ
 
見ると、美樹の他に、男2人、女4人
こっちを見てる…
 
美樹が車の側に来たとき、盗聴を止め、イヤホンを外した
フルスモークの窓だから、外からは中の様子は、わからない…
 
美樹がドアを開けた 
 
美樹「お母さんから電話あったの、私の居場所探してるって…男からだったって…」
 
ドアを閉めながら、美樹が言った
 
雅治「…早いな…動きが…」
わざとらしいが、この呟きが、美樹を、さらに追い込む
 
車をゆっくり、走らせながら、美樹側の窓を開け
 
雅治「しばらく、会えないんだ、手ぐらい振っておけよ」
 
そう、言いながら、タバコに火を着けた
 
 
友達達が見えなくなると、美樹が窓を閉め
 
美樹「ねぇ、和光に行ける?」 
 
雅治「和光?」
 
美樹「うん、そこに、証拠があるんだ…佳祐の…」
 
俺は外環に乗り、和光に向かった
 
 
美樹に言われるまま、車を走らせた
 
美樹「そこを右に曲がって直ぐ、停めて」
 
住宅街の一軒のボロ家
 
美樹「待ってて、取ってくる」
 
美樹がボロ家に入って行った
 
表札も出てない、汚い家… 
美樹がカバンを持って戻って来た
 
美樹「お待たせ」
 
車を走らせながら
 
雅治「何?あの家は?」
 
美樹「元彼の家…今は誰も住んで無いんだ…」
 

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