《MUMEI》

「‥終わった──」

やっと、

日誌を書き終わった。

椅子に座ったまま、

大きく伸びをしたら──

「お、終わったか?」

先生が、

ヒョコッと‥

廊下側の窓から顔を出したもんだから‥

「ぅわあッ、何でそんなとこから出て来んの!?」

‥ビクった。

「いや、ビックリするかなぁ、と思って」

その笑顔は、

まるで悪戯っ子。

「お疲れ。それじゃそれ、教務室戻るついでに持ってってやるから」

「いいよ、自分で──」

「遠慮するなって」

先生はあたしの手から日誌を取り上げて、

脇に抱えた。

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