《MUMEI》
先生のお祖母さん
「あの、すいません──」

「? おや、この前のお嬢ちゃん──また会えて良かった」

「詠子さん、ですよね。あたし──」

「ふふ、千代子ちゃんだろう? 詩郎から聞いているよ」

「ぇ、せ‥先生から‥?」

「ぁぁ、毎日のように電話でねぇ、『今日も佐原がパンを半分分けてくれた』とか──」

「マ‥マジ、ですか、それ‥」

「ぁぁ、本当だよ」

ニッコリしたその笑顔は、

先生のに似てる。

「千代子ちゃん」

「はいっ?」

「詩郎の事宜しくねぇ」

「?」

宜しく‥?

「あの‥」

「大丈夫。私の勘は外れた事がないから」

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