《MUMEI》

初めの頃は加奈子の心を覆っていた厚い殻が邪魔し、上手く話す事もできなかった。



だが直美は幸薄い加奈子の境遇を、我が身のように嘆き、涙を流した。



『加奈ちゃん…


辛い思いしとったんやねぇ…?』



直美は加奈子の手を握り、京訛りのある優しい口調で心を解きほぐしていった。



直美は加奈子を妹のように可愛がり…



いつしか加奈子も直美を姉と慕った…。



互いに心通わせる仲になるまで、多くの時間はかからなかった…。



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