《MUMEI》

「院内で待ち合わせしたんだけど後輩のやつが来ないんだよ。食う?」
松岡は林檎を差し出した。

「流石にバレるだろう……、一番でかいやつを。」
顔にガーゼをした人が樹と松岡の間に入った。

「ギャ、柴田先輩!」

「ギャってなんだよ、ギャって。」
松岡の反応で上下関係がはっきり理解できた。

「柴ー、おー後輩か?
デケェー。ウチに欲しい」
樹を見ながら、足を軽く引きずり気味にもう一人現れる。

「三田村にあげますわ、ウチの子じゃないし。」
柴田は軽いノリで言った。

「勝手に話進んでいるぞ!高柳少しは抵抗しろ!」
松岡が横の樹を見ると既にいなくなっていた。

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