《MUMEI》

詠子さんと別れてから、

バスに揺られながらぼんやりと、

窓の向こうを見てたあたしは‥

そのオレンジ色の光に、

あの詩の事を思い出してた。

「───────」

そういえば、

まだ先生から渡された封筒‥

開けてなかったな‥。

でも、

家に着くまでは──‥。

「‥‥‥‥‥‥‥」

でも、

誰も見てないし──

いいよね‥?

そう自分で納得して‥

ポケットから、

封筒を取り出す。

オレンジ色の光に染まったそれは、

何だか全然別の物みたいに見える。

封を開けて、

中に入れられた紙を取り出すと‥

そこには、

先生の文字で‥

こう書かれてあった。

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