《MUMEI》

「──うん、そうだよね」

胡桃ちゃんは頷いて、それから──私の手元に目を向けました。

「ミオ姉、凄いね」

「?」

「兄貴の為に、何でもしてあげられるんだもん」

「いえ、何でもじゃないです」

「ぇ?」

「してあげたいと思っても、してあげられない事が沢山ありますし──」

「そう‥?」

「はい、もっとこうしてあげたいとか──」

「ミオ姉──ほんと兄貴の事好きなんだね♪」

「ハイ、大好きですから」

林檎君の事、ほんとに大好きなんです。

世界で一番、大好きです。

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