《MUMEI》 今、 先生の車の中にいる。 結構こざっぱりした車内の座席に、 あたしはカバンを抱いて座ってる。 「‥‥‥‥‥‥‥」 ‥助手席に。 「先生‥ヤバいって‥」 「?」 慣れた手付きでハンドルを切る先生は、 バックミラーであたしの顔を見る。 「後ろが良かったか? でも、色々荷物あって座りにくいと思ってさ」 「ぃゃ、そういう問題じゃ‥」 ないんですけど‥。 「っと──どっか寄ってくか?」 「ハイっ!?」 「──ははっ、冗談だって」 「笑い事ですか‥」 「あは、悪い悪い」 前へ |次へ |
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