《MUMEI》

『拓海の子供っぽいひがみにとことん嫌気がさしたんだろ、それから惇は一気に変わった、服装も洒落だして、髪型も気にしだしたり、生意気に彼女までできてな、


拓海はせいぜい遠くからこっそり睨みつけるだけ、

はは…、ばかだよな、比べる対象が惇だからいけなかったんだ、惇は特別だ、
何てったって始めてのオーディションでグランプリ取る様な奴だぞ、何万人の一番に…、俺から見たってあの時は一番光ってた、


そんな奴に、たとえ弟だからって悲観しなくたって良かったのに……、


馬鹿すぎだあいつは……、あいつだって普通に、普通の中だったら出来る方だったのに……




自分自身を殺してまで惇に近づこうとした馬鹿、





俺は素の拓海が……



俺は惇とは違う意味で……



素の拓海を





愛していた……』

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