《MUMEI》

「詩郎って呼びにくいから、シロでいいじゃん。ね?」

「『ね?』って──そう言われてもなぁ‥」

赤くなって呟く先生。

「何か──」

「じゃあ、あたしもチョコでいいからさ」

「チョコ‥?」

「うんっ」

「チョコシロ──」

「?」

「お前がよく言ってただろ? チョコシロって」

「ぁ‥うん」

「それって、お前と俺──」

「ぇ、‥‥‥ぁ」

言われてみて、

気付いた。

確かにあたし達、

チョコシロだ。

「───────」

あんなに嫌いだったチョコシロも、

ちょっぴり好きになれそうな気がした。

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