《MUMEI》
お出かけ
 翌日、田畑は携帯のアラーム音で強制的な目覚めを迎えた
傍らで眠るファファを起こさない様静かにベッドを降り
郵便受けに無造作に突っ込まれている新聞を表戸を背凭れに読みはじめ
さして面白い記事が無かったのか、四つ折りに小さく畳むと床へと放りだす
寝ぐせのついた髪を更に手櫛で掻き乱しながら
「メシ、作るか」
徐に時計の方へと眼をやった
時刻は7時
丁度朝食時だ
冷蔵庫を開き、何もないそこに唯一常備してある卵を取って出すと目玉焼きを作り始める
出来たソレを皿へと盛り付け、主食の食パンを焼くと、取り敢えずの朝食が完成した
「ファファ、メシ出来たけど食うか?」
髪を梳いてやりながら、耳元で穏やかに問うてみれば
ゆっくりと眼を開けながらファファは頷いて
おはようございます、と笑顔をおまけに目覚めの挨拶だ
「おはよ。よく眠れたか?」
若干寝ぐせに乱れてしまった髪を梳いてやりなが問うてやれば頷く事をし
そのタイミングとほぼ同時に
ファファの腹の虫が盛大に空腹を告げる突然のソレにファファは顔中赤面
恥ずかしそうに顔を伏せた
「起きて早々健康な証拠だな。飯、出来てるぞ」
笑いながらの田畑がファファへと手を差し出して
その手をファファがとる
子供の、少しばかり高い体温が手に心地がよかった
「今日は正博君とお出かけですね。ファファとっても楽しみです!」
食事を食べながら、若干興奮気味に話すファファ
初めて見、そして触れるヒトの世界に胸の内が高揚していくのは仕方のない事で
加えて田畑と一緒だというう事がファファにとっては益々嬉しいことだった
「今日は、色んな所行こうな」
そう言って微笑む田畑に、ファファも満面の笑みを浮かべながら
大きく頷いたのだった……

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