《MUMEI》 「詠子さん、今朝はどうしたんですか?」 「ぁぁ──眼科にね」 「眼科‥?」 「目薬を貰いに──」 「目薬‥」 「ぁ、ほら──バスが来たようだよ」 「はい‥。あれ、詠子さんは乗らないんですか?」 「私は次のバスだから」 にこやかにそう言って、 詠子さんは私に手を振ってくれた。 「そうだ‥、詩郎に伝えてくれるかい? 今度千代子ちゃんと2人で遊びにおいで、って」 「ぇ、あたしと‥?」 「ぁぁ。だから──頼めるかい?」 「は‥はい、分かりました──」 後でメモっとこ‥。 前へ |次へ |
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