《MUMEI》 「先生、今朝詠子さんに会ったんだけど──」 「ぇ、何か言ってたりしたのか?」 「『今度千代子ちゃんと2人で遊びにおいで』って」 「ぇ──」 先生は、 固まった。 「先生? せーんせー?」 ダメみたい。 そんなに緊張しなくてもいいのに──。 「先生、大丈夫〜?」 「!? お‥悪い」 やっと‥ 正気を取り戻したみたい。 「そうだ──昨日はありがとね」 「いいって事だ、お互い様だしな」 にぱっ、 と白い歯を覗かせて笑う先生の表情は、 無邪気な子どもそのものだった。 前へ |次へ |
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