《MUMEI》

屋上で独り、

あたしは先生が来るのを待ってた。

でも、

全然来る気配がない。

まだ、

校長室にいるんだとしたら。

何か、

ヤバい事になってなきゃいいけど‥。

「悪い悪い、話が長引いてさ」

「? ──先生っ」

「あれ、昼はどうした?」

「ぁ‥今日は寝坊したから──作る暇も買う暇もなくて」

「じゃあ、丁度良かった」

「ぇ?」

ポカンとするあたしの目の前で、

先生はカバンを開けた。

「これ──佐原も好きだろ?」

先生が得意げに掲げて見せたのは、

チョココロネだった。

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