《MUMEI》

「日向ぁ、ジュース飲みたい」

「何ジュースがいい‥?」

「桃」

「じゃあ、自販機行って来るから待っててな」

「5分以内ね」

「ぇ」





那加は時々、

無理難題を突き付けてきたりする。





この病室は、

3階。





エレベーターを使っても、

ジュース買う時間を含めたら、

5分じゃ到底戻って来れない。





「早くしてよ〜ほらぁ」

「ハイ、行って参りマス姫サマ」

「ぁ、ついでにアイスも」

「何の‥?」

「日向に任せる」

「了解」

「──日向」

「?」

「遅れたら罰ゲームだからね?」





俺が病室を出る間際、

そう言って、

那加は笑いかけた。

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