《MUMEI》

『フッ……召さんな…。』



兼松は小馬鹿にするように吐き捨てた。



『お気に障りましたら、申し訳ございません………。』



〆華は明らかに口先だけの詫びを入れて、考え込む矮小な男に冷ややかな視線を落としていた…。



兼松は禿げた頭を掻きながら次の札への迷いに立ち戻る…。



そして暫しの思案の後「桐のカス」を空切りし、様子を見た…。



山札からの返しは…



…8月の札…「芒のカス」だった。



その「坊主」の札色を見た〆華の脳裏に、8年前の夏の記憶が蘇ってきた…。



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