《MUMEI》 「〜〜〜〜〜〜‥」 納得いかないのか、 那加はまだ膨れっ面を止めない。 「ほら、ジュース」 ピーチジュースの紙パックを差し出すと、 那加は受け取って── ストローを口にくわえた。 ちゅーっ、 とジュースを吸い上げる、 音。 「──ねぇ」 「ん?」 「お粥、一口だけなら食べたいかも」 「ぇ」 残されたままのトレイには、 まだ温かいお粥が入った土鍋がある。 「早くして。気が変わっちゃうから」 そう言われて、 俺は急いで土鍋からお粥を掬って小鉢に盛った。 前へ |次へ |
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