《MUMEI》

ヴァンはややげんなりして声の主の名前を呼ぶ。彼女はその様子が気に入らなかったようだ。

「なによ〜! 起きちゃダメなんて、ヴァン言ってないよ〜!?」

それは確かにそうだが、ヴァンが言いたいのは別のことだ。

「……今は大事な話の最中だ。いい子だから話の腰を折るな……」

半ば諦め気味にそう告げると、ルキアは完全に拗ねてしまった。今度お気に召さなかったのは子供扱いのようだ。

「どーせルキアは悪い子だもん、ヴァンの言うことなんか聞ーかないっ!」

そういうところが子供なんだろうが、などと言えば尚更ルキアは怒ってしまう。ヴァンはその言葉を飲み込み、次の言葉を吟味する作業に移った。

・普通に謝る

却下。「心がこもってない!」などとしつこい。

・土下座

却下。そこまでする理由がない。

・叱る

却下。しばらく落ち込んだままになるし、酷い時には泣き出してしまう。

・話を逸らす

却下。しつこいので逸らせない。

色々と考えてはみるが結局はいつもいつも同じ結論に達する。

「依頼の帰りに土産を沢山買って来てやるから機嫌をなおせ。」

結論:エサで釣る

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