《MUMEI》 「よしよし。 今度はちゃんと取ったね。」 「だから言ったろ?」 「はいはい。」 「でも速攻出なかったな。」 「…まぁいいさ。 大事なのはボールの主導権。 攻撃のチャンスを増やすことが大切。」 「へ〜。 クロも結構考えてんだな。」 「当たり前じゃん。」 「にしてもさすが秀皇すね。 戻りが速い。」 「秀皇のディフェンスは定評があるからな。」 「…ま、 そうともとれるね。」 「…なに? 俺なんか間違えたこと言った?」 「いや。 正しいと思うよ。 一般的に戻り速いチームは強いって言うし、 うちは機動力が武器だからやりづらいってのもあるしね。」 「…なんだよ? なんか気になる言い方だな。」 「…ま、 見てればわかるよ。」 … 「ディフェンス気ぃ抜くなよ!! 打たせるな!!」 秀皇大附属の監督から指示が出る。 (ふん… 10代のコーチか… あの若さでコーチを引き受けるなんて大したもんだが… 実際にプレーするのと指導するのとでは訳が違う。 大方ある程度実力があったから勘違いして引き受けたんだろうが… 所詮子ども。 統制する力なんてないだろう。 俺が何年ハンドボールの監督をやってると思う… あんまり舐めるなよ…) 前へ |次へ |
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