《MUMEI》

先生は、

嬉しそうだった。

ほんとに、

嬉しそうに笑ってた。

あたしも嬉しくなって、

笑った。

みんなが帰ってから、

先生は窓から差し込む夕陽を見て、

穏やかな顔をしてた。

「佐原、俺──」

「ん?」

「頑張ってみようと思う」


「先生‥?」

「頑張るからな」

力強い、

声。

決意の、

目。

「じゃあ──」

「ぁぁ、ここで頑張る事にする」

「──やった!!」

「ぇ、ぉ‥おい佐原っ、何す‥」

「良かったぁ‥」

あたしは無意識に、

先生の背中に両腕を回してた。

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