《MUMEI》

「──ふぅ、お腹いっぱい」





那加は、

土鍋一杯の雑炊をペロリと平らげた。





‥驚異だ。





いつもの那加は、

こんなには絶対に食べない。





「何かいい事でもあったのか?」

「ううん、別に‥」





満腹で眠たくなってきたのか、

那加はうとうとし始めた。





「日向──」

「ぇ」

「──手」

「ぁ‥」





繋げ、

って事か──。





小さな手を、

包むように握ってやる。





那加は目を閉じて、

少しだけ笑っているみたいに見えた。

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