《MUMEI》

「おい、佐原‥お前」

「良かった‥」

「佐原‥?」

「良かった‥先生が辞めないでここで頑張るって言ってくれて──」

ほんとに、

良かった。

──安心した。

「佐原‥?」

「ずっと不安で‥‥‥先生が辞めちゃったらどうしよう‥って‥」

「───────」

「だから‥、もう辞めるとか言わないで」

「──ぁぁ‥」

あたしの頭を、

そっと撫でながら──

先生はゆっくりと頷いた。

「約束する。もう言わないから。な‥?」

「うん──」

嬉しい。

すっごく、

嬉しい。

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