《MUMEI》

耳元からパイプオルガンの荘厳な音がする。
全ての雑音はカットされ、指示は全て信号で表された。
信号はブザーのような振動が伝わるもので、一回なら行ってよし、二回ならまだという合図だ。


クロバの首が一点に照準を合わせ出す。戦いの中、頭だけ後方に回転するものもあり不気味な光景だった。
背中の隙間から筒状の銃口が現れて尖端から一斉に発光した。
直線に地面を狙い、一面を白く眩ませる。地中を一瞬で塵にし、敵陣の外殻を露にさせた。
ただの鉄屑であるイツバは吹き飛ばされないよう屈んで踏ん張る。
イツバの数少ない性能として搭載された特殊強化グラスは初めて役に立った。


ブザーが、
一度鳴る。


進行の合図だ。

爆風に抵抗しながら、突き進む。
翼人の力が無ければクロバのような鉄屑は溶けて跡形も無くなる熱風だ、そこへと飛び込んで行く。

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