《MUMEI》 那加が目を覚ましたのは、 もう夕陽が沈みかけた頃だった。 「‥また寝ちゃった‥」 雑炊を平らげた後、 俺と散歩に行きたかったらしい。 その時間帯なら、 あまり人に出くわさずに済むから。 那加は、 人を恐がっている。 それは、 過去に受けた── 深い傷のせいだ。 「日向ってばッ」 「?」 横を見たら、 那加が思いっきり膨れっ面をしていた。 たぶん、 何回も呼び掛けたんだろう。 それなのに返事が返ってこないもんだから、 機嫌を損ねたみたいだ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |